孤立死を減らそう~区内で一人暮らし年間52人が死後4日以上たって発見される

 4年前の調査では、荒川区において自宅で死後発見された単身者は114人、内訳は男性88人・女性26人、男性は女性の3倍以上。男性のうち、15歳~64歳42人・65歳以上46人、65歳以下と65歳以上はほぼ同数です。死後4日以上たってから発見されたのは、男性42人女性10人計52人です。

 せの喜代の一般質問から
5月30日の朝日新聞に「孤立死に向き合う」という特集がありました。帝京大教授の岸 枝美子さんの話では、高齢者の孤独死した事例の8割は生前から「セルフネグレクト」だそうです。セルフネグレクトとは、体調管理、医療、最低限の衛生状態の保持、金銭の管理などを拒み、食べ物やごみなどを放置し、自分の健康や安全を守ろうとしない状態を言います。岸教授は、「保健師時代、外との関わりを拒んでいる人が玄関の扉をちょっと開けてくれるまで、早い人で数カ月、長いと1年かかりました」と話しておられます。
東京都監察医務院が昨年12月に出した「東京都23区における孤独死の実態」によれば、23区で毎日10人前後が孤独死し、年々増加傾向にあるとしています。4年前の調査では、荒川区において自宅で死後発見された単身者は114人、内訳は男性88人・女性26人、男性は女性の3倍以上。男性のうち、15歳~64歳42人・65歳以上46人、65歳以下と65歳以上はほぼ同数です。死後4日以上たってから発見されたのは、男性42人女性10人計52人です。
私は、区として、このような孤独死の実態を明らかにし、死後4日以上たってから発見される方の数を減らそうと方針をたてるべきだと思います。どのような方々が孤独死をしているのかの分析も必要です。
ジャーナリストの矢部武さんが今年2月、「ひとりで死んでも孤独じゃない・・『自立死』先進国アメリカ」という本を出しました。アメリカは一人で生きることを前提とした社会であり、孤独を楽しんで一人で死んでいく「自立死」を実践しているとあります。荒川区もぜひ、「自立死」をめざす一人暮らしを応援してほしいと思います。
まず、一人暮らしの40歳以上の男性に孤独死が多いことを知らせ、自覚を促すことが必要です。会社からの訪問がなかったり遅れがちということは、孤独死が失業やアルバイトが増加した結果であることが推察できます。
老いも若きも、突然死の場合でもすぐに発見されるような「何か」を用意しておくことが一人暮らしの作法といえるのではないでしょうか。
毎日のように連絡を取り合う関係をつくる、あるいは様々なサークルに出入りして「あの人見ないわね」と気づいてもらえる関係をつくる、生きている証拠のサインを出すなどなど。人づきあいがいやな65歳以上の方なら区が提供している、24時間見守りセンサーの利用も可能です。
また、孤立死予備軍の把握もお願いしたいと思います。私の近所の孤独死が発見された古いアパートのような物件には、予備軍の男性たちが多く住んでいるのではないでしょうか。先程紹介した岸教授のお話のように、大変難しいことでしょうが、孤立して固まった心を溶かす働きかけを強めていただきたいと思います。
せの喜代の一般質問項目
1、 子ども・若者育成支援推進法に基づく区の施策を問う
(1)困難を有する子ども・若者への支援について区の見解を問う
(2)連絡会設置・ユースアドバイザーの養成などの具体的施策
2、 障がい者や若者・生活保護受給者のケア付き就労支援を問う 
(1)ケア付き就労についての認識を問う
(2)荒川遊園や草花栽培での職種拡大
3、 子どもの貧困対策を問う
(1)0~3歳 はいはいタイム等参加率の把握と向上
(2)誕生日会への招待(ふれあい館・図書館・保育園・幼稚園など)事業
(3)保育園・幼稚園に入っていない子どもの把握と自主保育の支援
(4)子育て仲間づくりの支援強化
(5)保健室での朝ごはん欠食児童の支援
(6)生活保護家庭子ども支援員の配置
4、 一人暮らし支援施策を問う
(1)孤立死の実態を明らかにし、「自立死」をめざす施策展開を
孤立死予備軍の把握
(2)近所ともだち・仲間づくり支援
配食サービスの見直し、自主的会食会の支援

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