都電と自転車とリサイクル産業と下水処理場

 (4年前の本会議での討論から)
昔から荒川区にあるものといえば、都電と自転車、リサイ
クル産業の集積であり、三河島下水処理場、どれをとっても「環境にやさ
しい荒川」というキャッチフレーズにぴったりです。


私は、二〇〇三年度荒川区一般会計予算に賛成の
立場で市民の会の討論を行います。
 私は四年前に議員となって以来、常に健康や食についての発言を繰り返
してきました。区議会の委員会で、当時の浅川委員長が私の禁煙の要望を
取り上げてくださり、議員各位の賛同を得られたことなど非常に感慨深い
ものでございました。今回、七つの安心社会推進計画の中で、五つの挑戦
の筆頭に「だれもが健康で生き生きと暮らせる生涯健康都市づくり」が取
り上げられたことを高く評価いたします。その上で幾つかの留意点を述べ
たいと思います。
 まず、予算委員会の集中審議で大問題となったあらかわ遊園の民間貸し
付けについてです。藤澤区政がスピードと成果を第一に掲げているのは結
構ですが、事を急ぐ余り議会軽視、区民軽視と言わざるを得ません。「せ
いては事をし損じる」ということわざを肝に銘じていただきたいと思いま
す。現在は区と区民のパートナーシップの時代です。情報公開と政策決定
段階からの区民の参画が今大切だと思います。
 また、総務費におきましては、歩きたばこ禁止の区民運動や日本一透明
度の高い情報公開条例をと求めてまいりました。そして、住基ネットの選択制につ
いて、ぜひ区として検討していただきたいと要望しておきます。
 福祉の分野におきましては、認証保育所の設置や特養ホーム、グループ
ホームなど民間の力が活用されてきています。第三者評価制度を定着させ、
保育や介護の質を高める努力が今求められていると思います。介護保険に
おいては、在宅で過ごせる施策、そしてグループホームの早期設置を改め
て要望しておきます。そして、私が昨年の一般質問で取り上げました障害
者就労支援事業がこの秋にも実現するようです。障害者の能力を生かし、
障害者を納税者にする試みです。関係者との意見交換の場づくりを始めて、
区と区民のパートナーシップを実現していただきたいと思います。
 産業、経済、土木の分野におきましては、何よりも環境を大切にという
ことを基本にしていただきたいと思います。日暮里、南千住の再開発にお
いても、庁舎の耐震工事においても、緑をふやすこと、省エネ、雨水利用
など環境対策を第一に考えていただきたいと思います。
 これからは、環境、教育、福祉の分野で仕事をつくっていく才覚が求め
られています。 
 昔から荒川区にあるものといえば、都電と自転車、リサイ
クル産業の集積であり、三河島下水処理場、どれをとっても「環境にやさ
しい荒川」というキャッチフレーズにぴったりです。
 区は今、観光に力を入れています。いいことだと思います。私はホーム
ページに、「I Love あらかわ」というコーナーをつくったのも同
じ気持ちからです。私は関西育ちですから、不思議なんです。なぜ荒川区
民が自分の区を嫌い、他の区の学校を選ぶのか。「ほんま、何でなんやろ。
これはほんまおかしいな」と私はずっと思っております。ですから、「荒
川の宝探し」で荒川区民が誇りを持つ、そういうきっかけをつくるこの荒
川区の施策について歓迎したいと思います。
 都電のバラについても、区民参画が取り入れられようとしております。
ぜひバラの色合いを総合的に考え、区民参加で土つくりから取り組み、バ
ラの適さないところには別の植物を植えるなど、有害な農薬などの化学物
質をできるだけ避けるような、環境を配慮することをすべての事業の根幹
に置いていただきたいと思います。
 そしてもう一つ、都電荒川線の軌道敷に芝生を植えようと私は提案した
いと思います。交通局に要望していただきたい。照り返し防止、CO2の
削減、騒音の軽減に効果があり、ドイツなどで美しい景観を見せている路
面電車の軌道敷に芝生、これは土佐電鉄や広島電鉄でも始まっております。
ぜひ荒川区にも入れていただきたいと思います。
 母子家庭などの女性の就労対策の充実を求めた際にお話しいただいたコ
ミュニティビジネスの養成に期待しております。荒川区ではまだまだNP
O、市民運動の力が弱い。しかし、下町人情の土地柄を考えると発展の可
能性は大きいと思っております。
 次に、教育についてです。教育委員会のお話の中で歴史認識についての
話がありました。タイはアジアで唯一、植民地を経験しなかった国です。
たとえタイで、「日本の侵略がアジアの解放に役立った」という人がいて
も、アジア人民の圧倒的多数は「日本軍の侵略で苦しめられた」と言って
います。その点も必ず子供たちに教えてください。私の友達が三年間シン
ガポールで暮らして、「日本が何をしたか知らなくて本当に恥ずかしい思
いをした。自分の子供には日本がアジアを侵略した事実をきっちりと教え
たい」と言っています。
 東京裁判は戦勝国によるもので問題だという点は、私もそう思います。
もう一つ、性奴隷制を裁かなかったという点で不十分とされています。著
名な国際法専門家が裁判官、検事を務めた女性国際戦犯法定が二〇〇〇年
の十二月に日本で開かれました。「被告天皇裕仁有罪、日本国家に責任」
と判決を下しました。六十四名の日本軍によって性奴隷とされた人々が見
守っていました。教育委員会は、国際的視野に立って子供たちが活躍する
べしとするならば、世界に通用する歴史認識を持つべきだと私は思います。
 そしてまた、中学校のクラブ活動の停滞する面を取り上げましたが、学
校現場は今、改革続きで大変です。子供が中心の学校をつくるには、教員
がその能力を生かし、切磋琢磨して活発に教育活動を行う必要があります。
上から押しつけるのではよい教育は生まれません。この間、教育委員会と
学校現場が上意下達になっているように思います。保護者に対してもそう
です。例えば「習熟度学習について批判は一つもない」と言い切るのでは
なく、批判があるのならばそれを出していただいて、その点をどう改善し
ていくかを広く検討するべしと思います。
 また、普通学校に通う障害児の相談員制度につきましては、今年度、文
部科学省の調査では、LD、ADHD、高機能自閉症により特別な支援を
必要とする児童・生徒が六パーセント程度、普通学級に在籍するとされて
います。クラスに二人程度ということになります。区は、自閉症などへの
理解をすべての教員に徹底する必要性を認識していただきたいと思います。
ノーマライゼーションの実現に向かってさまざまな取り組みが始まってい
ます。教育においては一人一人のニーズに合った教育こそが大事だと思い
ますのでよろしくお願いいたします。
 以上、さまざま指摘してきましたが、何よりも情報公開と区民参画を目
指していただきたいと要望して、賛成討論といたします。

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