予算賛成討論

2009年度予算賛成討論         民主党市民の会 瀬野喜代
私は、民主党・市民の会として2009年度荒川区一般会計予算案に賛成の立場で討論を行います。
はじめに、修正案への反対理由に触れたいと思います。
高齢者に関わる修正案については、
区では、介護保険計画第4期を迎えるにあたって、介護保険料を12の区分に細分化して低所得者にとっては値下げし、施設介護を利用する家庭の経済的負担を減らそうと、勤労者の平均年収以下の所得層に対し、食費・住居費の補助を始めることなどの対応を行っています。また、基本的に所得制限のない一律の手当の支給よりは、安心して、医療・介護等を受けられる施策の推進に予算を配分すべきと考え、反対します。
議会費に関わる修正案については、
区長が提案する予算のうち議会費については、幹事長会において審議し、少数会派の意見も参考にしながら執行するのが通常のルールであり、100%予算案どおりとはなっていないはずです。今回、マスコミで取り上げられ、この修正案の提出に至ったわけでしょうが、オーストリアへの議員派遣に就いては検討途中、人間ドックと備品購入に就いての検討はこれからです。
議員たるもの、議会のルールに従って行動するべきであります。議員派遣・人間ドック・備品購入についての予算額の執行は100%ではなく縮小すべきであると考えますが、通常のルールに従って議論すべきであり、修正案の提案は唐突で、理解できません。ルールがおかしいというのであるならば、議長に改善を要望し、全議員で議論をしていくよう働きかけるべきです。議員が議会費の予算額にどこまで関与するかのルール作りを提案する、あるいは、公開の議会運営委員会で予算額を決めるようにと提案するなどが必要と思います。
先日の予算委員会で幹事長会から区長へ申し入れがあり、人間ドック予算は凍結されました。民主党・市民の会は、人間ドックについて全額公費はいきすぎだと思いますが、補助のありかたについて調査し、議論したいと考えます。オーストリアへの議員派遣に就いては長年の友好都市関係にふさわしい派遣の形を整える必要がありますが、民間交流を第一に位置づけるべきで、議員の公費派遣はあっても議長のみでいいと考えます。応接セットは、26年使用し、昨年、会派の控え室分を購入しました。議長室副議長室も経費節減を考えながら検討すればいいと思います。できれば、公開の議会運営委員会で議論すべきでしょうが、現状をかんがみれば、幹事長会で議論を重ねるべきと思いますので、修正案に反対します。この際、少数会派のオブザーバー参加を保障するべきと提言いたします。
 


さて、来年度予算についての賛成意見を述べます。
一般会計予算額は過去最大の862億、「区民の安心の砦として、未曾有の経済危機に積極果敢に立ち向かい、幸福実感都市あらかわの実現を図る」予算と位置付けられました。人口20万をこえ、自主財源比率も32%と少ないながら徐々に上昇している荒川区として、不況を積極的にのりきろうとする区の姿勢を評価いたします。800兆を越える財政赤字が国と地方自治体の課題であること、東京と地方の格差が問題とされていることに加え、基金の取り崩しが60億にのぼり、今後の税収入が落ち込むこと、などを考えると、区財政の課題は多いと考えます。執行に当たっては、区民の経済状況をかんがみて、特段の配慮をお願いいたします。
予算委員会の審議の中で、生活保護世帯が、1年前に比べて3割増だと示されました。昨年末、23区の先頭をきって、緊急雇用経済対策を示し、今年3月から、ベテラン職員による、しごとサポートデスクを設置して対応したことを評価します。
さらに、100年に一度という経済危機を、持続的な地域発の経済活性化、社会福祉の建て直しのチャンスだと捉え、国にモノをいい、区としてできることを果敢に取り組んでいく区政を期待します。
その意味でも、あらかわ区政経営戦略プランにおいて、区民との協働が、第一に掲げられたことを歓迎します。単に経費削減ありきという意味合いではなく、住民の手によるまちづくりと住民どうしの助け合いは、地域経済の活性化にも役立つものと考えます。(仮称)自治基本条例、債権管理条例制定を掲げたことも評価します。幸福実感都市実現のために、地域力の向上と温かい地域づくりをめざしていただきたいと思います。
次に、分野別に意見を述べます。
まず、生涯健康都市づくりについてです。
区民一人当たりの医療費が多く、早世する区民が多く、要介護4・5の高齢者の割合が多いという荒川区の現状を改善するために、生活習慣病対策を重点的におこなう姿勢を評価します。
特養ホームの建設は、待機者数にかんがみ、必要と思いますが、財政負担が大きく、保険料・利用料の増大に直結します。「できれば在宅で老後を過ごしたい」という高齢者の幸福を実現するために、在宅介護者の支援や介護予防・重度化の予防、認知症への対応にさらに積極的に取り組み、「在宅でも安心して暮らせる街」をめざしていただきたいと思います。今後示されるであろう介護の仕事を応援する区の施策に期待します。
また、障がい者支援策の中では、タイムケア事業や経営ネットワーク支援事業などの新規事業を評価し、当事者と協働で、施策の展開をさらに図っていただきたいと要望します。
次に、子育て教育都市づくりについては、保育需要に対応した第三東日暮里保育園の建設やヒブワクチン予防接種への助成、学校図書館指導員の充実、図書ステーションの拡大、区民との協働で行われるみんなの実家子育て交流サロンやハートフル日本語適応指導、また、給食費の負担軽減や就学支援の拡大を評価します。委員会の中で奨学金について、指摘をしました。今の経済状況の中、世界最低レベルといわれる日本の奨学金制度とこの間の格差拡大・貧困層の増大を考えますと、ニーズを把握し、区としてできることを検討すべきではないかと考えます。高校中退者についての現状把握と支援も必要ではないでしょうか。また一方、学歴社会にとらわれない、ものづくりの街としての誇りを幸福実感につなげる教育をさらに模索するべきと考えます。日本の食料自給率40%の改善が喫緊の課題とされ、農林水産業関連の仕事に若者が就労できる仕組みづくりが国でも検討されています。荒川区の若者が、地方を応援し、農林水産業関連の仕事に就くことを応援するような施策を期待します。
総合型地域スポーツクラブ設立支援については、健康づくりとしても、重点的に推進すべきです。生活習慣病は、健康診断や人間ドックにお金をかけても、予防できるものではありません。お酒やたばこでストレスを発散するのではなく、体を動かすことで人生を楽しむことを奨励し、「有酸素運動と筋トレとストレッチ」の知識を身につけ実践する、身近なスポーツをもっと応援するべきと思います。うつ病対策としても有効といわれています。
また、学校給食内容充実事業について期待しています。ごはんはお米と水だけで食べられ、和食のおかずとの組み合わせが健康の元といわれます。パンは、油なし砂糖なしで作ることがむずかしく、脂っこい洋風のおかずとの相性がいいものです。輸入小麦のパンより、国産のお米のパンは地産地消の観点からは優れていると思いますが、ごはんの和食に勝るものではありません。医者がみはなしたガン患者が、日本の食養生に基づくマクロビオティックで助かったと言う実践は広がりをみせ、あの、マドンナをはじめ、欧米の有名人が美容と健康のために取り入れています。日本の伝統であるごはんと野菜と豆腐を健康長寿食として世界が評価している流れを荒川区も考慮したらいかがでしょうか。
産業革新都市づくりでは、中小企業支援、ものづくりクラスター促進事業や産学連携、商店街空き店舗対策、観光振興などにさらに期待します。
環境分先進都市づくりについては、懸念でありましたリサイクルセンターの場所が確保できたことに安堵しております。集団回収という区独自の取り組みへの高い評価はいうまでもありませんが、容器包装リサイクル法で定められた包装用プラスチックを始めとするプラスチックやバイオマスのリサイクルに荒川区は有効な方法を打ち出すことができないでいます。区内にリサイクル業者の集積を抱えながらのこの状態は、本当にもったいないことです。リサイクル産業の活性化のためにも、荒川区と事業者・区民が知恵を絞って、リサイクル先進都市を実現する努力をお願いします。
さらに、省エネルギー、緑化推進、環境交通等のさまざまな取り組みが、エコセンターを拠点に、成果を上げることを期待しております。
 文化創造都市づくりについては、都市間交流事業や芸大との連携、日暮里駅前ひろば文化・交流事業など、区と区民の協働で、街の元気をつくりだす施策展開を評価いたします。せっかくのふれあい館の建設ですから、有効活用をさらに模索してほしいと思います。
安全安心都市づくりについては、備蓄倉庫・消防団支援等を評価し、区民の防災意識の向上を配慮した施策展開を期待します。都市計画マスタープランにそった、耐震化へのきめこまやかな支援、地区計画づくりへの支援等、積極的な取り組みを要望します。
最後に、(仮称)荒川区自治総合研究所の設置については、すでに指摘したように、財団法人による調査研究が、全国の自治体の先頭にたち、幸福実感都市実現に向けた、真に区民が荒川区に誇りをもつことができるような政策研究でなければ、税金の無駄遣いになってしまうと思います。情報公開に務め、心してとりくまれるようお願いします。
 
このほか、予算委員会で指摘した観点を考慮され、幸福実感都市あらかわの実現に向けた努力をお願いして、賛成討論を終わります。

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