2004年の一般質問(第四回定例議会)

1、収賄事件再発防止策について
① 倫理条例について
② 内部通報制度の導入、働きかけの文書化について、
③ 入札制度改革について 
2、区内産業活性化について
① 新産業基地の内実を問う
② 区内産業の育成について
3、高齢者、障害者施策について
① 生きがいつくりと介護予防について
② 介護事業者の実態調査と情報公開について
③ NPO、ボランテイアとの協働での施策について
4、防災対策について
① 危険度の認識について
② 無電柱化について、
5、教育について
① 学力についての基本認識を問う
② 家庭・学校・地域の協働について


2004年第4回定例区議会一般質問                  新星クラブ 瀬野喜代
区長・助役の逮捕起訴という情けない事態を経て、今、荒川区に失われた信頼を取り戻し、安心と活気を再生することが求められています。何よりも情報公開と区民参画の区政を実現することが再生への道だと確信します。西川新区長の公約には、新星クラブとしても、賛同できる点も多くあります。新区長の公約を確認し、実現への努力に期待したいと思い、質問をいたします。
第一に収賄事件再発防止策について伺います。
区長の公約、「職員倫理条例を策定する」について伺います。
職員倫理条例を制定する際には、ただの一般論ではなく、職員の服務規律として、利害関係者との禁止行為と許容範囲を具体的に示すことが必要です。
大阪府八尾市の職員倫理マニュアルは非常に参考になります。施策として使われた税金であっても、お礼をしなければならないという区民意識がいまだに残っているのが下町であります。業者や補助金を受けている団体の区民と行政の民主的な関係を築くためにもぜひ、具体的な倫理マニュアルを作っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
さらに昨日、武藤議員がおっしゃったように、区長・特別職・区議会議員・区民を対象とする包括的な政治倫理条例が必要です。区長は議会で合意が得られれば実現にむけ努力したいとお答えになりました。区長は、議会はどうするのかと問われたわけです。区長は就任後も、議会から逮捕者がでるだろうと発言されていると仄聞しました。議会としての名誉をかけて、信頼回復のため、政治倫理条例の検討を始めようではありませんか。
次に、区長の公約「内部通報制度の導入、働きかけの文書化等で恣意的な力が働き得ない制度づくり」についてうかがいます。
法を守り不正を許さない企業・行政の実現のために、内部告発しても保護されるような制度づくりが始まっています。職員が問題点を感じたときに、自分に不利益が及ぶことを心配せずに相談できることが必要です。滋賀県近江八幡市では2001年に全国初のコンプライアンス=法令遵守条例をつくりました。前の年から県や県警から派遣された外部職員による相談窓口をつくりましたが、相談件数も多く、何らかの圧力にあって判断に困った場合の職員の心理的負担が大幅に軽減されると好評のようです。いままでの区役所はトップダウンの圧力が強く、自由にモノが言える雰囲気ではなかったと聞いています。今回の不祥事を機に、職員が気軽に相談できる窓口をつくり、風通しのよい区役所を作っていただきたいと思います。
また、働きかけの文書化、すなわち、議員や各種団体、住民からの要望や問い合わせを文書化し、情報公開することは大きな意義があります。働きかけの文書化こそ、政策決定過程の透明性を高める情報公開の真髄とも言われるほどです。議員の働きかけがよく問題になりますが、私たち議員は、個人の利益を求めるのではなく、区民全体の利益のために議員活動を行っています。区への要望や問い合わせももちろん、個人の問題がきっかけであっても区民全体の利益のために行っているはずです。是非、要望や問い合わせを文書化し公開する制度をつくっていただきたい。とかく何をしているかわらないといわれる議員活動を区民にみえる形にするためにも必要なことだと思います。
これら、内部通報制度と働きかけの文書化について実施の見通しをお教え下さい。
次に入札制度改革についてうかがいます。
区長は「公約に障がい児者、環境に配慮した透明性の高い公開調達制度の導入」をあげておられます。これは、法政大学の武藤博己教授が、談合をなくすためには政策入札への転換をと提案されている、先進的な取り組みをお考えなのでしょうか。電子入札を導入した自治体でも、なかなか談合がなくならないのが現実です。区内業者保護が大前提であるならば、業者の数が限られ、どうしても談合が発生しやすくなります。それならば、入札を価格だけを基準とするのではなく、障害者雇用や環境配慮、男女共同参画や公正な労働条件の視点など、自治体としての政策、方針を基準に盛り込むというものです。たとえば、大阪府や大阪市では、庁舎等の清掃管理業務を障害者雇用率の高い事業者に委託しています。神奈川県はグリーン購入基本方針を策定し環境配慮の物品購入を始めています。談合防止のためのいたちごっごを繰り返すより、社会正義にもとづいた政策で企業を鍛え、いい仕事をしてもらい、きちんと業務評価を行うほうが合理的です。お恥ずかしい収賄事件があったからこそ、先進的な政策入札制度導入の検討を始めるべきと考えます。また、区長の公約「幅広い人材で構成する入札チェック組織」を専門家や公募委員で組織し、入札制度改革を検討する第三者機関として機能させ、同じく区長の公約「契約実施後の業務評価を厳格に実施」にあるような業務評価をおこない、政策入札の視点を検討するような位置づけにしていただきたいと思いますが、見解をうかがいます。
 第二に区内産業活性化についてうかがいます。
区長は公約に地域経済発展の起爆剤となる新産業(ロボット、コンテンツ、バイオテクノロジー、ナノテク等)の基地のするといわれていますが、その内実をお聞かせください。
新産業の誘致は一見華やかではありますが、区長の示された新産業は先端技術の研究者なくしては発展しえず、区内にそのような可能性はないようです。藤澤前区長の「華やかさ・話題性」を売り物にした区政に追随することはありません。これからは地域循環型産業の時代です。区長も公約に「保健科学大学、航空高専、他の高等教育機関と連携し、区内中小企業を福祉産業・観光産業・新産業の担い手に」と掲げておられます。荒川区として、今、必要な産業政策は、いままでのこの荒川区にあるものつくりの様々な技術者・職人を集団化し、地元教育機関のみならず、教育研究開発機関の援助を得て、やる気のあるキーパーソンをつくりだし、一歩を踏み出すことだと思います。区長は公約に「中小企業経営者育成のためのあらかわ経営塾を創設する」ともいわれていますが、いままで荒川区で開催してきたさまざまな講座が産業の活性化に結びつかなかったのは何故だとお考えでしょうか。いくらすばらしい講師陣をまねいて講座を行っても、その後の継続性がなければ、知的財産の蓄積にはならず、ネットワークも広がらない、すなわち、活性化しないのです。現在、国においても特定産業集積の活性化に関する臨時措置法を制定し、地域の産業集積を応援しています。長く下請けで甘んじていた中小零細企業が、独自製品を生み出し、荒川区でいえば、自転車産業に関連した様々な技術の集積あるいは医療器具等の製作技術を、福祉機器関連の新事業に活用し、これからの超高齢時代に対応することが考えられます。おしゃれで機能的な車椅子や、歩行補助器具、生活補助器具などの製作に利用者ひとりひとりのどのようなニーズにも応じられる専門家集団の育成などが考えられます。その意味で、行政の情報収集力、ネットワーク力が問われていると思います。ぜひ、荒川区のものつくりの地域集積のなかから生まれたキーパーソンが縦横に活躍できる土壌とさらにその輪が広がるような柔軟な取り組みをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
第三に、高齢者、障害者施策についてうかがいます。
 区長は、「シルバー人材センターの積極的活用で元気な高齢者に活躍の場を」「障がい児者の就労支援をNPOとも協働しながら充実」「障がい児者がスポーツ、文化活動を活発に行える環境を整備」と公約されています。働くこと、社会の中で誰かに必要とされていること、自己表現できる場があることは人にとって、生きがいであり、必要不可欠なものです。障害者にとっての就労は地域で生活するためにはあたりまえでありながら、実際はなかなかむずかしい課題であることも事実です。区長の高齢者・障害者の就労への取り組みに期待したいと思います。国においても、高齢者と障害者は、その雇用促進のために事業主の取組みを促す強力な政策支援が不可欠であるという共通性・類似性を有することにかんがみ、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構法が定められています。事業主としての区役所も、すべての課で関連する事業の中で高齢者・障害者の活用策を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。   
超高齢社会を迎えた今、できるだけ多くの高齢者が自立した生活を続けることができ、要支援や要介護になっても、日常生活の動作能力機能を回復・維持すること、そして、生活の質を維持し、生きがいのある生活を過ごすことが望まれています。そのために、介護予防も大事、介護専門職の質の向上も必要です。
そこで、区長の公約「介護状態になる前の予防のための施策推進」についてうかがいます。介護予防も、社会の中で必要とされていること、自己表現ができる場があるという生きがいがあってこそ、効果があります。高齢者の気持ちに寄り添った介護予防をおねがいしたいと思います。区も、ころばん体操の普及に努めておられますが、筋力の衰えに体操が有効という認識を高齢者のなかでどれくらいの方がお持ちでしょうか。ぜひ、検証しながら事業を進めて欲しいと思います。毎年健康診断をうけてはいても、筋力の診断というものはありません。専門家による筋力診断を実施し、お年寄りひとりひとりの状態にあわせて必要な体操を確認することができたら、介護予防の取り組みも一段とすすむはずです。体に障害がでてきても体操をすれば回復可能だとお年寄りが納得し、楽しんで体操ができるよう介護専門職なども活用しての知識の普及をお願いしたいと思います。
次に区長の公約、「介護保険事業者の実態調査を行い、詳細に情報公開、利用する事業者選択の材料に」についてうかがいます。介護保険事業者の質の向上のために、実態調査と情報公開が果たす役割は非常に大きいと考えます。そのときにはぜひ、介護労働者の労働条件や介護予防の取り組み、日常動作機能の回復・維持についても調査項目に入れていただきたいと思います。このような調査に、区長の公約「NPO、ボランテイアとの協働し、区民参加の区政を実現」を生かすことができたらいいと思います。区民参加で調査項目を考え、調査を実施し、情報公開を行うことで、区民の意識が高まり、介護事業者にとっては、区民の目を意識することで介護サービスの質の向上につながるはずです。事態調査はいつごろどのような形で実施されるのでしょうか。
また、高齢者障害者の生きがいづくり、生活の場づくりに関する多くのNPO、ボランテイアが区内でも現に活動しています。障害者の就労支援を行うことが、高齢者のいきがいづくりにもなっているNPOもあります。障害者就労支援事業としてパンの製造販売業をめざすNPOは旧道灌中の給食室を使用しての事業展開を希望しています。障害者のグループホーム建設をめざすNPOは廃止になったひろば館で事業展開を検討しています。藤澤区政ではNPO支援として打ち出されたのは立ち上げの費用5万円の補助でしたが、NPOやボランテイア団体の主な希望は活動場所の確保であります。いままでは前例の無いからとお断りされることがままありました。行政にすべてお願いするのではなく、自らの力で社会貢献のために活動を始めているNPOやボランテイアの意義を確認して、新しい取り組みをぜひ実現して欲しいものですがいかがでしょうか。
第4に防災対策についてうかがいます。
先ごろの新潟中越地震での被害状況に痛ましい想いをいたしております。お亡くなりになった方のご冥福をお祈りするとともに、地域再建への支援を、この場からも願いたいと思います。おりしも、政府中央防災会議は首都圏直下型地震の被害想定を発表しました。それによりますと23区でも、震度6強の地震がいつおこってもおかしくないといわれています。荒川区は木造密集地域が多く、家屋の倒壊、火災の拡大をだれもが心配しております。しかし、荒川区民は、自分の町がどれぐらいの危険度であり、どこに危険な場所があるか、どの程度知っているでしょうか。
たとえば、東京都の地域危険度測定調査が2002年12月に発表され、議会では報告されましたが、区民には公表されず、今日に至っています。ただ、木造密集地域は危険だという一般的なお知らせではなくて、何町何丁目ごと、町会ごとの詳細な危険度の周知が必要ではないでしょうか。町会の防災訓練や防災会議のときも、危険度の認識があれば、また、防災意識もすすむと考えられます。
この間、東京都建築安全条例も改正され、建ぺい率の緩和、不燃化建築物の立替促進の条件整備がされてきました。先日結成されたNPOまちづくりネットも、地震で家がつぶれないように、耐震診断を無料で行い、耐震工事の相談にも応じるとしており、地震に強いまちづくりへの取り組みが期待できます。地震がおこっても、被害をできるだけ小さくするには、住民自身が、自分の住んでいる町の何が危険かを知っておくのが、基本であると思いますが、区の認識をうかがいます。
さらに、地震規模・季節・時刻別の避難シュミレーションを区民に知らせることはできないでしょか。もし、地震がおこったら、自分は、家族は、家は、職場は、どうなるだろうと、想像力を働かせることが、避難場所を考えたり、備蓄用品を考えたり、地域コミュニケーションを考えたり、防災意識を高めることにつながります。ぜひ、避難シュミレーションを情報公開していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に無電柱化についてうかがいます。今年4月の国土交通省無電柱化計画には、都市景観に加え、緊急輸送道路・避難路の確保の防災対策、バリアフリー化等の観点からも整備を推進とされています。
区内のあちこちに、傾いた電柱があるのが多く目に付きます。地震が起こったときには倒壊し、非難できなくなるのではと心配してしまいます。荒川区としての都市計画、防災対策としての認識と今後の展開についてうかがいます。
最後に教育についてうかがいます。
学校週5日制の開始と新指導要綱の策定を背景にして、この間、学力低下をめぐる議論が様々に行われています。そのなかで、こどもたちの学ぶ意欲が低下していることのほうがより深刻であるという指摘を真摯に受け止めたいと思います。基礎学力をつけることは当然必要なことではありますが、ペーパーテストにすぎない学力調査の結果に振り回されることなく、荒川区の未来、日本の未来を切り開くための教育を目指していただきたいと思います。自ら学ぶ意欲をもち、自己表現ができること、自己主張し、議論する力を持つと同時に、他人の意見に耳を傾け、コミュニケーションできる力をつける教育こそが望まれているはずです。基礎学力として根本的に必要とされるものは読み、聞き、理解する力であり、それさえあれば必要に応じて、自ら学んでいくことができます。重要なのは、教員が工夫して子どもたちの関心をひきつける、楽しい授業を実践し、学ぶ意欲をひきだすことです。学校には先生や友達がいて楽しいと思えることです。そのためには、教員自身のゆとりと自己研鑽の時間が保証されることも必要だと考えます。新区長の就任にあたり、教育委員会として、改めて、子ども達に望ましい学力そして、望まれる教育についてどのように認識されているかうかがいます。
だだのペーパーテストで測れるような学力ではない、生きる力、学ぶ意欲、自己表現力などの醸成のために、地域にもっと開かれた学校つくりが必要ではないでしょうか。全国各地で取り組まれている様々なコミュニティスクールには注目に値するものがあります。民間校長の採用で話題になった足立区五反野小学校は地域や保護者が理事会を構成し、校長が変わっても基本方針は替わらない地域の特色をもった学校づくりをめざしています。なかでも、地域・保護者による授業診断・評価の実践では、子ども達が「おもしろい」と感じている授業が高く評価されるのではないでしょうか。三鷹市第四小学校の取り組みの中では、授業に様々な専門を生かして地域の先生を招くほか、国語や算数の授業にも助手として地域・保護者が参加しています。もちろん、荒川区でも様々に行われていると思います。しかし、各学校のHPを見ても、学力向上への取り組みには触れていますが、開かれた学校づくりには触れていないようです。家庭・学校・地域の協働で地域ぐるみで子ども達を育てていくことが重要だという認識が不足していると思います。最近のこどもたちに社会性が欠如していることが青少年の様々な問題の根本原因ではないかと指摘されています。下町人情あふれる荒川区でこそ、開かれた学校をさらに飛躍させることで、最近のこどもたちにとりわけ欠けているといわれる、人との付き合い方、社会性を身に付けさせたいと思うのです。学校から、保護者や地域の方々にもっと学校運営に、授業に、行事に参加していただくように働きかけ、そして、町で子ども達に会ったときには声をかけ、見守っていただくような地域ぐるみ教育のよびかけを積極的におねがいしたい。コミュニテイスクールのような地域立の学校を運営できるぐらいの力を地域が持てるよう、家庭・学校・地域の協働を呼びかけていただきたいと思います。教育委員会の認識をうかがいます。以上で一回目の質問とさせていただきます。

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